狭心症発作は運動時に起こりやすくなりますが、心筋梗塞は突然に起こることが多く、安静時の起こることも珍しくありません。特に発作が起きやすい時間帯として、朝起きてから体が徐々に活動を始める午前8〜10時頃、1日の疲れがたまった20〜22時頃が知られています。
起床後の時間帯は体を活発に動かせるよう交感神経が働き、血圧が上がったり、血液が固まりやすくなったりするため、心筋梗塞が起きやすくなります。
また、狭心症と同様に冬の寒い日に起きやすい傾向があります。これは暖かいところから寒いところに出た時の温度差で血管が収縮することが原因となります。
急性心筋梗塞が起こると発症直後に3割が死亡するとされ、その多くは病院にたどり着く前に亡くなっています。心筋梗塞は冠動脈が塞がることで心筋が壊死する病気ですが、心筋梗塞発症をきっかけに「心室細動」という恐ろしい不整脈を起こして心臓が止まってしまうことがあります。この致死的な不整脈は心筋梗塞の半数で起こっているとされています。
そのため、近年ではいろんな所にAEDが設置されるようになってきました。AEDとは心室細動を起こしている心臓に電気ショックを与え、正常な心臓のリズムに戻すものです。
心筋梗塞が疑われる激しい胸痛が起こり、安静にしても症状が改善しない場合はすぐに救急車を呼ぶようにしましょう。心筋梗塞発症後、病院にたどり着く前の死亡率は3割ですが、治療法の進歩によって病院にたどり着いた場合の死亡率は7〜8%まで下がっています。
ただし、心筋梗塞は発症するとすぐに心筋壊死による心不全を起こすため、仮に生存できたとしても後遺症が残ることがあります。発症後の適切で速やかな対応がその後の予後を左右するといっても過言ではありません。救急車を待っている間は極力安静につとめ、自家用車で病院に向かうのは危険ですので避けましょう。
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