運動負荷試験とは体を動かした時だけ異常が現れる心臓病の診断に使われるもので、体に心電図の電極をつけた状態で体を動かし、運動時の心電図をみるものです。これは体を動かした時だけ胸痛発作が起きる労作性狭心症の診断に有効です。
運動負荷試験は胸痛などの自覚症状や血圧低下などが見られるまで継続して行われるため、患者にとっては負担となります。そのため、急変に対処できるよう万全の準備がされ、専門医の立会いのもとで行われます。運動負荷試験には踏み台や固定式自転車、ベルトコンベアなどがあります。
マスター階段昇降(2階段法)
2段になった踏み台を昇り降りしてもらい、運動前、運動直後、2分後、3分後の心電図をとって心臓の状態を調べます。階段の昇降時間はシングル(1分30秒)を基準として、ダブル(3分)、トリプル(4分30秒)と3段階があり、一般的にはダブルで行われています。階段の昇降速度は年齢や体重、性別などによって決められます。この方法は十分な負荷が得られず、運動中に心電図変化の確認ができないというデメリットがありますが、実施が容易であるために多くの医療機関で行われています。
自転車エルゴメーター
固定式の自転車ペダルをこいで、その時の心電図変化を調べる検査です。ペダルの回転力を徐々に重くすることで負荷を増やし、これ以上こげないというところまで続けます。負荷中に心エコーをとったり血圧測定を行ったりできるのがメリットですが、下肢の疲労が大きく、全身への負荷が得られないというデメリットがあります。
トレッドミル法
運動の基本ともいえる歩行動作を行うもので、動くベルトコンベアーの上を歩いて負荷をかけます。負荷中に血圧や心電図の変化を見る事ができるほか、全身に十分な負荷をかける事ができるため、運動負荷試験の中では最も正確な情報が得られる方法とされています。
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