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狭心症・心筋梗塞は生命に関わる重大な病気です。狭心症・心筋梗塞の原因・症状・治療・検査・予防を知っておきましょう!

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狭心症・心筋梗塞の検査とは

問診は診断の第一歩


 初診時の診察では、まず医師が患者に色々な質問をして病気を診断していきます。これを問診といいどのような病気でも行われますが、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患では大変重要なものとなります。

 例えば、狭心症は発作中でなければ心電図や心エコー検査で異常が出ないため、その後の診断や治療法は問診から得られる情報から決められるといっても過言ではありません。特に狭心症の場合は問診で80%以上が診断されます。

 そのため、問診で必要な情報が医師に伝えられるように、あらかじめメモなどを用意しておくとよいでしょう。心臓病に関する主な問診項目は以下のようになっています。

どのような自覚症状があるのか
今までに心臓病の治療を行った事があるのか
症状は安静時に出るのか、それとも何かをしている時に出るのか
今までに大きな病気をした事があるのか
家族などの血縁に心臓病の人がいるのか
現在服用している薬があるのか
健康診断や人間ドック検査を受けているのか
生活習慣について(喫煙、飲酒など)

 また、初診時には問診に続いて視診、触診、聴診が行われます。視診では顔色やまぶたの状態、胸の形、静脈の浮き上がり方などを目で観察し、触診では心臓の鼓動、脈拍、むくみの有無などを直接体に触れて調べ、聴診では聴診器を胸や背中に当てて心音や呼吸音を調べます。これらの診察も心臓病診断の手がかりに欠かせないもので、医師はこれらの診察によって心臓の大きさや働き具合など、心臓のおおよその様子をつかみます。


多くの情報が得られる基本検査


 病院での初診時には、血圧測定、血液検査、尿検査、胸部X線検査(レントゲン検査)、眼底検査などの基本検査が行われます。これらの検査は心臓病に限らず、他の病気にも共通して行われる検査です。これらの基本検査によって、重要な情報が数多く得られます。


血圧測定

 高血圧は心臓に負担をかけるばかりでなく、動脈硬化を促進するために狭心症や心筋梗塞の大きな原因の1つとされています。そのため、心臓病の診断では血圧測定は欠かせません。初めての診察の場合は、一般的に左右両腕の最高血圧(収縮期血圧)と最低血圧(拡張期血圧)が測定され、左右で差がないかどうかも調べます。血圧は最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上で高血圧と診断されます。

 なかには普段血圧が低くても、白衣を着た医師や看護師に血圧を測られると緊張して血圧が上がる人がいます。このような状態を「白衣高血圧」といいます。病院で血圧が高く測定されると高血圧症と間違われてしまうので、このような人は自宅で測定した血圧をメモして医師に見せるとよいでしょう。自宅で血圧を測定する場合は、なるべく毎日同じ時間に測定するのがポイントです。


血液検査

 血液検査には一般検査と生化学検査があり、一般検査では赤血球数、白血球数、血小板数、ヘモグロビン値を調べます。生化学検査では血清中のタンパク質やコレステロール、糖質、各種酵素など約20種類の成分を調べます。これらの検査結果から各臓器の働き具合や心臓病以外の病気の有無、狭心症や心筋梗塞の危険因子として知られる糖尿病や高脂血症などの有無などを調べます。


尿検査

 尿検査では尿中にタンパク質や糖分、血液が混じっていないかなどを調べ、心臓に悪影響を及ぼす糖尿病や腎臓病の有無などを確認します。



胸部X線検査(レントゲン検査)

 胸部にX線と呼ばれる放射線を照射して撮影する検査で、撮影したX線写真から心臓の大きさや形、位置、肺や血管の状態を確認します。狭心症はX線写真に異常が現れませんが、心筋梗塞では多くの場合で心臓が大きく写ります。このほか、胸部X線検査は心臓病以外にも肺炎や肺がんなど多くの病気や怪我の診断に役立っています。


眼底検査

 眼底の網膜を眼底鏡でのぞくと動脈を鮮明に見る事ができるため、動脈硬化や高血圧に伴う血管の変化を直接観察することができます。そのため、眼底検査は循環器疾患の診察に有効な手段となっています。なお、眼底検査には瞳孔を広げる薬を使用するため、検査終了後もしばらくまぶしい状態が続きます。


診断に不可欠な心電図検査

 心臓の拍動は洞結節と呼ばれる部分で発生する電気信号が心筋に伝わる事で発生します。そのため、心臓に異常が生じるとこの電気信号がうまく伝わらなかったり、拍動のリズム異常が起こったりします。心電図検査はこの心筋の電気的興奮を心電計によって波形としてとらえ、用紙に記録したりモニターに表示したりします。

 心臓が正常に活動している場合は心電図は規則正しい波形を描きますが、異常がある場合は波形の形やリズムが乱れたりします。

 心電図検査ではまず診断の基本となる安静時心電図をとります。これは横になり安静にした状態で測定する心電図検査で、前胸部の決められた位置と手足に電極板を固定して行います。検査は2〜3分ほどで終わります。

 狭心症のように安静時心電図には問題がなく、発作が起きた時だけ心電図に異常を示す場合には、ホルター心電計を用いて24時間連続で心電図を記録します。ホルター心電計とは携帯可能な小型の心電計で、胸に電極をつけたまま通常通り24時間生活を行います。これによって、日常生活の中で起こる異常心電図を発見する事ができます。このほか、運動をした時だけ異常が現れる場合には、運動負荷試験を行ってから心電図をとるようにします。


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