狭心症や心筋梗塞を患うと、発作の再発を恐れて運動を避けてしまう人がいます。確かに息切れするような運動を急に行うと心臓に負担がかかるほか、狭心症発作が起きる可能性もあります。しかし、適度な運動は心肺機能を高めたり、血圧を下げたり、血中コレステロールを減少させたりする効果があり、高血圧や肥満、高脂血症、動脈硬化の予防や改善に役立ちます。
そのため、日ごろから運動習慣のある人は、運動しない人に比べて狭心症や心筋梗塞の発生リスクが少ないことがわかっています。ただし、健康増進につながる運動の仕方は年齢や体力、身体の状態によってさまざまで、中高年や心臓が悪い人が急に激しい運動をすると心臓に負担をかけてしまうことがあります。
健康増進につながる運動とは、心臓に負担がかからない運動が前提です。また、心臓病をわずらったことがあったり、健康診断などで一度でも心臓が悪いといわれた事がある人は、医師に相談して安全を確かめた上で運動を始めるようにして下さい。
運動が狭心症や心筋梗塞の予防に効果があるといっても、たまに単発で行う程度では効果が現れません。特に運動を始める際は意欲的になりがちですが、初めから飛ばし過ぎてしまうと運動のつらいイメージだけが残り、習慣づけることができません。
大切なことは、適度な運動を毎日楽しみながら継続することです。そうすることで心肺機能が高まり、全身の筋肉が鍛えられ、血圧が上がりにくい体になっていきます。
毎日少しずつでも運動することが理想的ですが、天気の悪い日や猛暑の日、体調の悪い日などは無理して運動する必要はありません。1日に30分程度のウォーキングでも構いませんので、徐々に自分の生活の中に運動する習慣を組み込んでいきましょう。
運動の種類を大きく分けると、有酸素運動と無酸素運動があります。有酸素運動とは酸素を十分に取り込みながらゆっくりと行う運動で、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などがあります。
一方、無酸素運動は短時間に多くのエネルギーを使うもので、腕立て伏せやけんすい、短距離走などがあります。このような無酸素運動は急激に心臓に負担をかけるため、健康増進を考えた運動には向いていません。
そのため、心臓病の予防には有酸素運動が効果的で、なかでも気軽に行えるウォーキングを行うことをおすすめします。忙しくてウォーキングの時間をつくることができないという人も、普段バスに乗っている区間を短くして歩いたり、エレベーターに乗らずに階段で昇るなど、工夫する事で日常生活の中に運動を取り入れる事ができます。1日8000〜10000万歩を目標に歩くクセをつけてみましょう。
「健康のために運動を!」と決意して運動を始める人には2パターンいます。1つは心臓が苦しくなるような運動をたまにがんばって長続きしない人、もう1つは軽い運動を続けられる人です。
もちろん健康効果があるのは後者の無理のない運動を続ける事で、自分の身体に不相応な運動をすることは危険を伴うこともあります。自分の力を出し切るような運動ではなく、自分の運動能力の半分くらいで続けるようにしましょう。
運動を始めると健康効果が現れてくるのが気になるところですが、運動によって症状が改善されるには早くても1〜2ヶ月かかります。また、肥満解消を目的として運動を行うには、有酸素運動を毎日続ける事が大切です。
有酸素運動によって脂肪の燃焼が最高に達するまでには運動開始から12分後といわれており、5〜10分程度で運動をやめてしまうと脂肪は燃焼しません。1日30分以上の運動を無理のない範囲で毎日続けるようにしましょう。ただし、毎日続けるのが時間的に難しい場合は、1回60分の運動を週3回でも同様の効果が期待できます。
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