タバコには4000種類もの化学物質が含まれており、なかでもニコチンは体内でカテコラミンというホルモン分泌を促進します。カテコラミンには心拍数増加や血管収縮作用があるため、血圧増加によって心臓に負担がかかるようになります。
また、タバコの不完全燃焼の煙から一酸化炭素を吸い込むと、赤血球が酸素ではなく一酸化炭素と結びついてしまうため、酸素の運搬能力が落ち込みます。もともと冠動脈に狭窄があって心臓への血流が乏しい人にとっては心臓の酸欠を招き、狭心症などの心臓発作を起こします。
このほか、タバコには血液中の遊離脂肪酸を増やす働きがあります。この遊離脂肪酸は筋肉を活動させる働きがあるため、遊離脂肪酸が増える事で心臓の酸素必要量が増え、結果として心臓発作を起こしやすくなります。
さらに遊離脂肪酸には血小板を固まらせたり、血管壁への付着を促進する働きがあるため、動脈硬化の促進や、心臓発作の引き金となってしまいます。
1本のタバコの作用は15〜20分程度ですが、絶えずタバコを吸っているヘビースモーカーになると心臓にかかる負担が持続するため、高血圧や動脈硬化が促進されて狭心症などの心臓発作を起こしやすくなります。
1日に20本タバコを吸う人の虚血性心疾患発生頻度はタバコを吸わない人の2〜3倍であり、急性心筋梗塞後の死亡率も吸っていない患者の2倍に達する事がわかっています。
長年タバコを吸ってきた人には「今さら禁煙しても遅い」と考えている人が多くいますが、決してそのような事はありません。
禁煙を実行すると、1年で再梗塞または虚血性心疾患による死亡率が半減し、15年禁煙を続けるとタバコを吸わない人と同レベルに達するといわれています。つまり禁煙に手遅れなどなく、今すぐにでも始める価値があるのです。
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